Olive の日記

文学少女

『黒猫/モルグ街の殺人』の感想

  ポーの『黒猫/モルグ街の殺人』を読んだ。訳は小川高義さん。光文社古典新訳文庫のものでした。装丁の表折り返し部分の角がとってあるのがなんだか好き。
  表題には2作品しか出ていないが、本書は8つの短編で構成されている。しかし、表題作がその中でも一際面白いと思った。「ウィリアム・ウィルソン」も良かった。各作品についての解説が本書の後ろの方にあり、読んでいて感じていたもやもやが解消され、なるほどなぁと感心した。なお、文章が難しいということではなく(むしろわかりやすい)、単に解釈の仕方でもやもやしたのである。デュパンが登場する他の短編も読んでみたい。
 私のポーデビューは小学3年生のときに姉の持っていた文学作品集にあった『黄金虫』であった。当時はとても怖いというような印象を受け、ポーは怖い小説を書く人と思っていたが、今では素晴らしい小説家だなぁと思うようになったことに妙な感慨深さを覚えた。