Olive の日記

文学少女

『非ユークリッド幾何の世界』の感想

 ブルーバックス、寺阪英孝さんの『非ユークリッド幾何の世界』を読んだ。非ユークリッド幾何とはどのようなものか?どのようにして発見されたのか?という疑問を解決したい人が読むと良いだろう。第1部は平行線について考え、非ユークリッド幾何へ接近し、第2部では非ユークリッド幾何発見の歴史を読み解き、第3部では初等幾何を用いて非ユークリッド幾何のモデルを作るという構成になっている。ユークリッドの公準、すなわち約束事は「直線外の一点を通ってこれと平行な直線はただ一つしかない」であることをここに述べておく。

 内容について、「平行線の公理を否定すると線分には単位の長さ C が定まってしまう」というところからだんだんと面白くなっていった。読んでいて、平行線の公理の否定の困難さが伝わってきたので、若ボヤイが tan¥frac{¥theta (x)}{2} = e^{-¥frac{x}{k}} を導出した場面では、一緒に喜んでしまった。老ボヤイの「幸福な人は他人も幸福にしやすいが、干からびた泉からは何が流れるだろう」という言葉、彼の不幸な人生を表しているようだと思ったし、悪い意味で私にも当てはまるのではないかと思った。
 面白くない、根気がいる部分をがんばって読むだけの価値はあったのかもしれない。