Olive の日記

文学少女

『エチュード春一番 第一曲 子犬のプレリュード』の感想

 荻原規子さんの『エチュード春一番 第一曲 子犬のプレリュード』を読んだ。
 内容は、あらすじそのままである。
 面白くなかった。私が面白く感じなかった理由を考えてみる。今までの荻原規子さんの作品では、高校生くらいの年齢の登場人物がメインで、ファンタジー的な要素に否応なしに巻き込まれつつ、自分で道を切り開いていくという筋書きのものが多かった。しかし、本作のファンタジー的な要素は、美綾が切り捨てられる程度のものであり、美綾とその要素が上手く絡んでいる感じがしない。荻原規子さんの過去の作品の中では、『樹上のゆりかご』が近いと思う。しかし、『樹上のゆりかご』は、シリーズものではなく、一冊で完結するので、ひろみの悩みはストーリーに直結していたが、本作では美綾の様々な悩み、直面していること(今後のストーリーにかかわってくるのだろうが……)をひたすら広げていて、うんざりしてしまった。また、露骨な大学生らしさが気持ち悪かった。